水彩、インク、鉛筆、スクラッチなどで描かれた小型のドローイングシリーズ
「大気」と「地形」は、意識 の中心にはなく周縁にあるにも関わらず、常に心理や行動に影響していることを体験を通して気づき興味を持ち続けています。 気象現象や天気、肌で感じる風や気温、大気の振動である音、部屋の響き具合、微かな傾斜に感じる重力、坂道の記憶など、切っ 掛けがあれば意識の表層に現れますが、大半の部分は深く意識しないまま受け取り、そして反応しているものです。そのよう な意識と無意識の双方にまたがる領域の意識は、「前意識」と呼ばれています。 ドローイングを描く時、何を描くか始めに設定することはありません。手を動かし、目の前で起きている現象への好奇心のみが、 描くことを押し進めます。紙に傷をつけそこに色をしみ込ませてみたり、画面上に水たまりをつくったり。絵の具のついた紐 を画面に無造作に投げつけたり。利き手ではない左の手で描いたり、目を使わずに描いたりします。それは、一見無意味のよ うに思えますが、自分でも驚くような出来事に出会う機会を増大させます。結果的に画面上の出来事は、ストカスティックに 進行してある収束を見ます。改めて自分でその定着されたドローイングという投影物を解釈すると、それは「大気」と「地形」 の感触が共通してあることに気づきます。顕像化する前のイメージ、様々な可能性が未決定のまま多重露光された「前意識」 としての像を生け捕ることを目指しています。| 三浦秀彦 (個展のためのメッセージより)
タイトル : 「大気・地形・前意識 No.01-26」
素材 : 水彩絵具、色鉛筆、鉛筆、ペンなど/ 水彩紙
サイズ : 297×210mm
制作年 : 2017年