リスニング・インスタレーション
6時間の時間的フレームに描かれる即興的な軌跡、身体と出来事を媒介としたインスタレーション作品
現象の原始性と日常を繋ぐことを狙いに、ホールという暗箱にいくつかの現象を配置し、その関係と変化の過程を「出来事」として表す。それは、6時間の時間的フレイムの中に描かれる即興的な軌跡であり、作者と鑑賞者は、近い視座で出来事に出会うことになる。
作品について(個展メッセージより)
幼い頃の記憶を辿るといつも「庭」に行き着く。その守られた輪郭の内に浮かび上がる時間と風景は、海に浮かぶ島のように記憶の中にある。その場所で毎日、無心で遊んでいた頃の体感は、今このように創作に携わること の原型であり、疑いのない出発点である。最近では、その出発点は同時に目的地なのではないかと思い始めている。無心に遊ぶとき、意識の周縁にあるものは、風であったように思える。それは、静止した空気感ではなく、流れ ゆく滞ることのない風であり、触覚としての空間と時間だった。 その始まりにおいて清らかなもの、繰り返し回帰し更新される超越的な原型を祖型と呼ぶ。個人的な祖型に過ぎないが風と聴覚に焦点をあて、その双方が属している大気と関係した出来事を生きられたものとして捉え、その前意識的な有り様を探る試みである。また作品という「結果」として固定されたものではなく、その過程の行為ま たは出来事として示すこともテーマの一つであった。即興性を要し完成させないという困難さに挑んだのも、「過 程」の価値と楽しさを強く感じているためである。| 三浦秀彦
会期 : 2019年5月4日 13:00 -19:00
場所 : 逗子文化プラザホール さざなみホール(逗子・神奈川)