Listen deeply into the distance

 

すみだ向島EXPO 2024 参加作品

『 遠く深く聴く

会期:10/18(金) -11/3(日) 10:00~18:00
開催日: 金曜日、土曜日、日曜日、月曜日のみ   11日間

 

会場 :  ウラダナとなり(墨田区京島3丁目57−6)

 

 

 「深く聴く」ことをテーマにした参加型のインスタレーション。日常の中にある音や情景を感じ取り、モノや場の雰囲気などの語らぬものとの対話、また人との対話を通して感覚と意識を開くことを目指している。 地球の表面に薄っすらと被覆されているような大気。その大気圏の深いところ、対流圏の底に日々暮らしている。風が吹き雲が流れ、季節の香りが運ばれてくるのと同様に、音や声もまたおおらかに流れる大気に属する現象として捉えている。大気に浸されていることによって日常が流れうつろい、新鮮さを失わないものとなる。

 2週間という短い期間ではあったが、この場所に滞在し場に浸り耳を澄まし体感的に文脈を読み解いた。制作を進める中で、言葉にはならないものも含め多くの気づきと可能性を見出した。同時に暮らすように制作することの喜びも感じた。築90年の民家を起点に、その時間的な「遠さ」を感じながら、最も近い今ここにある身体と体感をあえて、遠くのものとして味わうことを試みた。この場所にある既存の事物と向き合い、それらを再構成することで場を設えた。それは原理や原型、意識の源流に立ち戻ることで遠くへ至ることができるのかの挑戦でもあった。 日常の中に見え隠れする「深く遠いもの」を引き寄せ、重ね合わせ、即興性を活かし移り変わる場と出来事を奏でられればと思う。 三浦秀彦 (展示会場で配布のテキストより)

 

 

戦前に建てられた築90年の平屋の民家を会場とした。京島地区のこの一帯は、第二次世界大戦の空襲から焼け残った地域で今でも古い民家が点在する。曳舟駅に至る明治通りから一本奥に入った歩行者と二輪車のみが通過できる細い路地に面した民家である。玄関はその路地と一体となっている印象で、路地から直接、玄関に続いている。引き戸をくぐると玄関は広く、薄い不織布の膜で柔らかに仕切られている。合成ニードルが敷かれた玄関に一歩踏み入れると足元の感触が変わり、ヒバの香りが薄っすらとする。視界を霞めている膜の脇を通り、奥の部屋に眼を向けると白い紙が浮いている。

 

 

白い紙は全体に無作為に皺がつけられ、部屋の四辺、長押の上から縦横に張られた銅線の上に乗せられ空中に静止している。薄く透過性があるが、ハリがあり形を保っている。その下にはフェライト磁石を砕いて作られた岩石状の黒い塊が所々に見える。

 

 

家の外から聴こえてくる通りの交通の音、路地を通り過ぎる自転車の音、人々の話し声や足音、上空を飛び去る飛行機の音、時には救急車の音も聴こえてくる。部屋の中では、外から流れ込んでくる音と混じり合うように、同等の音量で何やら物音がしている。

 

 

 

 

デザイナー、アーティスト。1966 年岩手県宮古市生まれ。1990 年代より地平線や地形、大気をテーマに身体性や相互作用を意識したインスタレーションの制作と発表を続ける。ヤマハ株式会社デザイン研究所勤務後、1997 年渡英、ロイヤル・カレッジ オブ アート(RCA) ID&Furniture(MA)コースでロン・アラッドやアンソニー・ダンに学ぶ。2000 年クラウドデザイン設立 。 プロダクト、家具、空間、体験等のデザインの実践と実験を行い、 日常の中にある創造性や意識、モノと場と身体の関わりについて多様な切り口で探求している。

 

 

 

リンク :   すみだ向島EXPO2024/遠く深く聴く