大気の入り江 ・逗子

Atmosphere / Sound
お茶とリスニング・インスタレーション

 

茶事のように少人数の参加者とともにお茶を味わい、音、匂い、場の気配、時の流れなど出来事を全感覚的に体感するインスタレーション。

 

初開催は、線路と道路に挟まれた、錆のあるトタン板で囲まれた古い小屋の中で行われた。耳に効く漢方茶を飲みながら、すぐ近くを走る電車と車の往来などに耳を澄ます。

 

会場 : FLANK(逗子市・神奈川)
会期 : 春  2018年5月3日 – 5日 / 秋  2018年10月6日 – 8日

プロジェクトメンバー :

   杉本 格朗 (漢方家)
   瀬藤 康嗣 (サウンドアーティスト)
   三浦 秀彦

 

 

メッセージ(イベント時のリーフレットから)
ふたつの「入り江」を思い浮かべている。一つは「耳」、もう一つは「肺」である。
耳介の半島から外耳道の入り江、その奥に鼓膜がある。自分の身体の中に大気が両側から流れ込んでいる。”sound” という言葉に” 入り江” という意味があることを知った時、何故だか嬉しく思ったことを覚えている。500km 上空の大気圏の端、うっすらとした空気の所から「わたし」の肺の奥までの距離。呼吸によって満ち引く、大気の入江としての肺。
6000 年前の縄文海進最高期には、この場所( 逗子2丁目付近) は深く入り込んだ入り江であったという。その場所に充満する空気感、音と光、熱、臭いは、どのようなものであったのか? 現在と異なる地形、風景、暮らし、意識。変わることのない現象や草木・炎・土・鉱物・水、それらの関係性。その視点で、お茶にまつわる日常と儀礼を思い巡らすことは、愉しい。「聴くこと」は、出来事や場と解け合うこと。「聴く」は、音に限らず「わたし」を解かし、味わい、透明に同化し、受け入れる姿勢を指している。
今回の3 人での制作は、まさに三人三様のやり方で引き起こされる現象を、三人で直に「聴く」ことで味わい、共振することが核となっている。その必然性を含んだ即興性によって緩やかに組まれた出来事( 作品) をこの場所、土地が支えていると感じる。|  三浦秀彦

 

「大気の入り江」 Webサイト